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JIPAT国際委員会主催講演会「巨匠イサム・ノグチ〜魂の原点」



去る7月16日(金)、JIPAT国際委員会様による、講演会「巨匠イサム・ノグチ〜魂の原点」が、青山の建築家会館で開かれました。松井監督の講演の模様をレポートします。

東京インテリアプランナー協会(JIPAT)とは、関東近辺でインテリアの設計に携わる方々の集まりで会員数は約500名。様々な活動を通してインテリア・デザインに関する情報をひろく発信しています。その中には海外への情報発信や交流をはかる「国際委員会」があり、海外で活躍する方々のお話を伺い交流するイベント「サロン・ド・IP」を企画されています。

国際委員会の委員で、マイレオニーサポーターでもあるヒジュン・カスヤさんの「協会のみなさんをはじめ、多くのクリエイターの方々にイサム・ノグチの原点―母を描くこのすばらしい映画『レオニー』を知って欲しい。また、優れた映画づくりについての監督のお話を通して、異業種間の壁を破り、硬直した縦社会のフレームを外す新しい視座を備える機会に繋げたい!」という熱い思いが、会員の皆さんの心を動かし、ご協力を頂き、この講演会が実現することになりました。
 


講演会を企画してくださったヒジュン・カスヤさん。
当日は司会も務められました。

当日は、インテリアプランナーやデザイナー、建築家の皆さんが大勢集まって下さり、松井監督の講演と、マイレオニー賛同人でもありイサム・ノグチ財団理事の建築家川村純一氏とのトークセッションの2部構成での講演会でした。


「同じクリエイターとしての皆さんの前でお話し出来るのが嬉しい」と話し始めた第1部、松井監督の信念のもと、自分が思い描く作品を創り出すため秘話を披露されました。


 
さすがインテリアプランナーの皆さん、
会場のポスター貼りもこの正確さ!



出演者を決めるためにはまず、シナリオを読んでもらう必要があります。ですが、そのシナリオも、感性があう人がなかなか見つからず、約2年、3人目のシナリオライターでようやく両思いになれ、「レオニー」のシナリオが出来たとのこと。14稿という膨大な原稿のやりとり、その思いの強さに驚かされます。

「『「何でこんなことが実現したの?』といろいろな人から言われるんですけど…。それは、実現するまであきらめなかったからです。10年かかったらあきらめたかもしれませんが(笑)…7年間あきらめませんでしたから」とサラリと話す松井監督の言葉には、映画を完成させた喜びと底知れぬ自信が宿っているように思いました。

出演者が有名だと製作費も集まりやすいのが、この世界。最初、松井監督も、日本でも誰もがその名を知っている有名女優にアプローチをしていました。「有名女優のところには、世界中から"この作品に出てください"とシナリオが送られてきて、山積みされているんですね。いつマネージャーが読むのか、さらにそれをいつ女優さんが読むのかわからない。返事が来るまでは他の女優さんにアプローチすることはタブー。そんなわけで、1年近くも待たされました。

主演に決まったのは、エミリー・モーティマーという、決して有名ではないのですが、でも有名な作品に印象深い役でいくつも出演していて、有名監督からの信頼が厚い女優さんです。彼女はシナリオを読んで"絶対にこの役をやりたい"と言ってくれ、すぐにロンドンに会いに行き彼女に会い、即決しました。」

監督という仕事はリーダーシップが必要。ビジョンを明確にしっかりもっていれば、人はついてきてくれる。ビジョンをしっかりと持っていられたのは、松井監督だけが6年間も「レオニー」を考えていた、という自信だったそうです。その熱い思いが、カメラマンの永田鉄男さん、音楽のヤン・AP・カチュマレクさんへのラブコールも実を結び、さらなる「レオニー」の世界観を描き出すことになりました。

「ヤンとの出会いは運命的でした。お互いの持っている才能が単純に「プラス」になるだけでなく、化学反応を起こして想像以上のものを作り出せたと思います。周りには、アカデミー賞作曲賞を獲ったような人だから無理、と言われたんだけど、ムリと本人に言われたわけじゃないから、と、永田さんのときと同様、自分で切々と手紙を書いてお願いして…(笑)。
出来上がった音楽は、彼の今までのどの作品よりもいいんじゃないかと私は思っています。ひとりで創るのではなく、他の人との才能が呼応しあってそれよりもすばらしいものができるというのが喜び。その感覚は言葉では言い表せない程の喜びです。」話を聞いていたインテリアプランナーである、クリエイターの皆さんも大きく頷いてらっしゃいました。

「海外との合作、という映画は今までにもいくつかあったかもしれません。でも、日本から海外へロケ隊が行く、あるいは資金的を2カ国以上で出している、という意味だけでの合作であって、日本から英語もできないおばさんがシナリオをもって日本とアメリカで撮りにいくという合作は今までなかったのではと思うんです。映画が完成してからマスコミの方々に"作っているときに取材に行きたかったなぁ"と言われ、そこに日本のマスコミの限界を感じたりもしました。でも、私には自慢がありまして、製作に入る前から私の映画の観客が、マイレオニーというネットワークを作ってずっと励ましてくれていました。この講演会も、カスヤさんがインターネットでマイレオニーのことを知り、昨年の撮影のエキストラに参加されて、それから"この映画のために、私に何かできないか"とずっとご自分で動いてくださって実現したものなんです。」

構想から7年、モチベーションを持続出来たのは、経済効率が優先される昨今、文化を正しく伝えなければ、という志があったからという監督。不況であるからこそアートや文化の出番ではないか、と話を締めくくられた松井監督でした。



第2部は川村純一氏とのトークセッション。川村さんは、イサムと実際に仕事をしたときのお話を、建築や建築家に関する専門的なエピソードや、イサムの人となりもなども交えながら、話してくださいました。


「イサムは、自分の芸術については話すがプライベートのことを出すのは嫌がっている、と、NYにあるイサム・ノグチ財団をはじめ、周りのあらゆる方に言われていました。映画化に関するあらゆる交渉も何度も断られたのですが、イサムの晩年いちばん近くにいらした川村さんご夫妻にお会いしたとき、奥様の京子さんが、「イサムさんがあなたを選んだのね!」と最初に言ってくださったのが、映画化に向けて大きな自信になりました」
と松井監督。イサム自身にも、伝記や映画化の話が何度も持ち込まれていたのですが、イサムは「自分の伝記より、母親の伝記を書いたほうがよっぽど面白い」とことあるごとに言っていたそうです。その後ドウス昌代さんの原作本の映画化権の交渉に成功した松井監督は、「レオニーに『撮ってもいいわよ』と言われたみたいだった」と、運命を感じたと話されていました。


最後に、JIPAT志村会長からご挨拶を頂き、今回の講演は幕を閉じました。


講演の後は、「レオニー」特別鑑賞券、監督の著書「ターニングポイント」が飛ぶように売れました!さすが、感度のいいクリエイターの皆様達です。
松井監督も、若いクリエイターの方々とお話することができて楽しかった、と話されていました。


この講演会のためにご尽力頂きました佐藤 勉 国際委員長をはじめとする国際委員会の皆様、お忙しい中でのご準備、本当に大変だったと思います。お世話になりました。ありがとうございました。


                                                                         (岡田 方子・wakki)

| supporters | 映画 『レオニー』 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2010/09/05 10:57 PM posted by: shiori
方子さん、wakki、素晴らしい有意義なレポートをありがとうございました。
カスヤさんのご尽力にも頭が下がります。
監督のトークはいつでも感動しますね。
クリエイティブな科学反応ほどエキサイティングなものはないと思います!!
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