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野口米次郎終焉の地・水海道を訪ねて (3)
映画「レオニー」のもう一人の主役、
中村獅童さん演じる野口米次郎が晩年を過ごした町、
茨城県水海道(常総市)のレポートをお届けしています。

パート1はこちら
パート2はこちら

いよいよ、米次郎が住んでいた家に到着です。



水海道・豊岡。
代々作り醤油を営んでいたという飯田(いいた)さん宅は、
地元の方には、「枡屋(ますや)」という屋号で呼ばれています。

この家の当主にあたる松井菊子さんが
当時の家の写真を見せてくださいました。
関東鉄道常総線の初代社長のお孫さんにあたる方です。



「以前この地で講演をしたことがあり、
その後米次郎さんの東京の家が空襲で焼けてしまったとき、
地元の方が熱心に疎開をすすめ、米次郎さんも大層ここを気に入られた
というのがきっかけだったそうです」

枡屋は、疎開してくる米次郎家族のために、
道路を挟んで向かい側にあった茶室「娯楽園」に
お勝手を作るなどして改築し、離れを作って迎えました。

離れは米次郎の死後、同じ水海道内の別の場所に、
当時の面影を残したまま移築されています。

続いてお話を伺ったのは、飯田荘六さん。



昭和6年生まれの荘六さんは、生前の米次郎に実際に会っています。
思い出をお話してくださいました。

味わい深い地元の方言でお話してくださったのですが
要約させていただきますと、

本家には、浮世絵談義をしに来られたり、お風呂に入りに来られたりと
毎日のように通ってこられたそうです。



私たちがお話を伺った部屋。
この右手前の椅子に座って、
お庭の景色を見ながらくつろぐのが好きだったそうです。

また、散歩が好きだった米次郎は、毎日のように
安楽寺の参道や、近くの弘経寺、鬼怒川沿いの道を歩きました。

背が高く、髪は赤く長髪だったという米次郎。
中折れ帽子をかぶり、スーツを着てステッキ片手に歩いていたその姿は
当時の日本では、かなり目立ち、格好良かったそうです。

作家にありがちな気むずかしさはなく、
地元の人にも気さくに声をかけていた米次郎。
野菜を生でバリバリ食べるのが好き、というユニークな一面も。

米次郎は昭和22年7月13日、73歳で病気のため亡くなりました。
当時、荘六さんは18歳。火葬場がないことと、
お墓が別の場所にあるため(神奈川県藤沢市)
荘六さんが薪を調達してひと晩かけて荼毘に付し、
親族や近所の人など20人くらいでお葬式をしたのだそうです。



続いて私たちは、飯田家から徒歩1分ほどのお寺
寿亀山天樹院弘経寺」(じゅきざんてんじゅいんぐぎょうじ)に。
このお寺は徳川家康の孫・千姫のお墓があることで知られています。

わずか7歳で豊臣秀頼のもとへ嫁いだ千姫。
その後大坂夏の陣で夫・秀頼は自害。
千姫は家康の命によって救出されますが、
波乱に満ちた生涯を送ることとなります。
30歳で出家し天樹院と称したときの戒師を務めたのが
この水海道の弘経寺の第十世照誉学上人あった縁で、
この寺が菩提寺となりました。

1414年開祖の当時から、豊かで交通の便が良く
絹の産地でもあったこの地で、門前である地元の豪農・飯田家とともに
弘経寺は発展してきました。
600年の歴史があるこの寺は関東18壇林
(仏教の学問所があり、僧侶の位を決める権限がある寺)のうちのひとつで、
東京・芝の増上寺の別院です。
徳川家に代々非常に大事にされており、屋根に“葵の御紋”が5つ使われていることから
このお寺の位の高さがわかります。

お話を伺った住職(主管)の金田大祐さんは、

「この地が代々豊かで文化的な磁場があったことを知るにつけ
私自身日々驚きを新たにしています。この地で、イサム・ノグチを生んだ
野口米次郎が暮らし、そして現代、私たちがこの場に集まっている。
この地の磁場がなせる業でしょうね、私も勝手にご縁を感じてしまっています」



ご自身も大学卒業後、4年間、ハワイの浄土真宗のお寺でつとめ、
その後家業を引き継ぐため、寺内の工房で地元の方たちに
焼き物作りや英語を教えながら住職をつとめている金田さん。
流暢な英語でマークスさんと語り合う金田さんを見ながら、
私たちもまた、この地が呼び寄せる不思議な縁を感じずにはいられませんでした。



自分の暮らす町に対する誇りや、地域の人々とのつながり。
水海道では、私たちとまた違った熱い想いで
映画『レオニー』を見届けようとし、
『レオニー』が世界に発信するメッセージに期待を寄せている人々に
出会うことができました。

マイレオニー茨城支部長の人見さんはじめ、
水海道でお世話になった皆さん、本当にありがとうございました!
| wakki | 映画 『レオニー』 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2009/10/01 12:26 AM posted by:
WAKKIの堂々のレポート、読みごたえ満点でした!

ヨネへのイメージ、shioriさんもおっしゃっていましたが、変わりそうです。

磁場にひきつけられるような現象は、実はアチコチにあるのかもしれないですね。

私もこの場にいたかった!と心から思ったレポートでした。


2009/09/29 10:50 PM posted by: shiori
wakki、素晴らしい取材によるおもしろいレポートをありがとうございました。
飯田壮六さんのヨネ談はすごいリアリティですね。
ヨネへの印象が変わりそうです。
金田大祐さんのお話も興味深いこと。
すべてにつながるものを感じています。
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