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つくばロケにて 松井久子監督インタビュー (中編)
前編より続きます)

シナリオの力、スクリプトという信頼できる軸

―― アメリカ・ロケで印象的だったことは?

松井 アメリカでよく言われたのは・・・、アメリカのクルーたちが私と仕事してる動機というのが、誰もがシナリオのせいなんだけど、そのシナリオがここまでアメリカで通用するというか、アメリカのクルーもみんなすごい人たちだけど、彼らが口を揃えて、日本人が書いたと思わないって言うことが多かったのね。それがすごく自信になった。

もちろん、私のシナリオを英訳したデイビッド・ウイナーの才能があってのことなんだけれど。彼とも、なかなか理解してもらえなくて何度もケンカもしたし、でも、その段階まで行けてね。それで、みんなが信頼できるスクリプトっていう軸があるから。それは恐いくらい強力。

私、今まで「折り梅」の時も「ユキエ」の時も、自分が監督としての苦労をすればするほど、それはいい作品になるための苦労なんだって思ってたけど、今回そういう苦労をしてないので・・・。いや、細かい問題はあるのよ。
でも、今回強く思うのは、監督をやれるのはこれが最後という気持ちでやってるから、時間に追われたり、いろんなことに惑わされるんだけど、ああ、これをやれてるのは幸せ・・・、っていうね、本当にそういう気持ちなの。
みなさんに心から感謝しています。

この映画、神様がついてるって思う

―― 撮影が四分の三まで進んできた、現在の感想は?

松井 こんなに幸せでいいのかしら(笑)、っていうのがひとつね。それと、本当にスタッフと俳優さんに恵まれたなって思うけれど、お天気もそう。お天気で変更になったことがないの。梅雨の時期の撮影なのに。

―― お天気待ちはお金がかかりますよね。

松井 ここまでくると、やっぱりこの映画、神様がついてるって思う。それは俳優さんとの出会い、エミリー・モ−テイマーとの出会い、永田鉄男さんとの出会い、スタッフたちとの出会いも含めて、そう思うの。

それまで、すごく紆余曲折があったわけじゃない? 紆余曲折があった時も、映画ができるタイミングっていっぱいあったような気がするんですよ。ニューヨークでもちゃんとプロデューサーがいてくれて、女優さんもやりたいって言ってくれていて・・・、だけどできなかったでしょう?

それで今回、できることになった時の永田さんとの出会い方とか、エミリー・モーティマーとの出会い方とか、お天気とかスタッフとか。やっぱりこうなるためにあの長い道のりがあったんだなあ、というのを日々感じるのね。

―― 運命としか言いようのない展開ですね。

松井 本当にそう。プロデューサーMさんとの出会いがまさにそうですよね。こんなことができるのはMさんしかいないし、私は、この映画を実現させるためにMさんと私は選ばれてしまった、と確信しています。




みんなに守られながら、映画を作るド真ん中にいられる幸せ

―― 撮影は、あと2週間を切りましたね。

松井 時々、エミリーから「あと2週間よ。もう終わっちゃうんだね」って言われることがあって、もうちょっとやっててもいいなって思うけど、また編集は編集ですごく楽しみだから。

それに四分の三まできて、今度はどう売ろう、どう見せよう、と考えるようになってきました。半分ぐらいまでは、まだ作ることに夢中で考えられなかったんだけれど、今度はそっちが不安になってきたわ。

いいものは撮れてると思うけれど、アメリカのほうがちょっと時間が足りなくて、妥協したことが日本より多いかな。日本はアメリカから較べると、スケジュール的に恵まれてる。

―― 様々な事情を考えて、断腸の思いでひとつのシーンをカットすることもあるのでしょう?

松井 本当に決断の仕事なんですよね。これでOKか、OKじゃないか、もう一回やるか、やらないか・・・、時間との闘いの中で、常に私しかジャッジできないわけだから。

―― スタッフの方から、カポック(照明器具)が画面に映っちゃったから撮り直し、ということもありましたね。

松井 私、お芝居しか見てないから。それとか、たとえば飛行機が飛んできて音が入っちゃったとかっていうのは、録音部さんの耳には聞こえていても、私には聞こえなかったら「OK」って言っちゃうのね。

そういう技術的なことは、ちゃんとそれぞれのパートのスタッフたちが、それぞれのプライドで言ってくれるから、私もこだわらずにやってもらうけれども、それは互いの信頼関係がどうできてるかってことで決まるんでしょうね。

今、一番感じているのは「こんなにみんなに守られながら、一本の映画を作るド真ん中にいられるのが幸せです。みなさん、ありがとう!」ってことです。


以後、後編に続きます。どうぞお楽しみに。



| shiori | 『レオニー』 製作レポート | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2009/07/03 9:48 AM posted by: 米
すごい。すごいですね。神様だらけ。
軽くコメントできない、インタビューです。すごすぎて、ため息でちゃいます。
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